かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 妙心寺隣華院

妙心寺塔頭の一つ,隣華院の障壁画を見ました.今回の公開は「第40回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開」によるものです.
隣華院は豊臣秀吉の家臣,脇坂安治が南化玄興を開山に慶長14年(1599)創建.現在の方丈は化政期の再建で,方丈を飾る障壁画は,室中に創建以来の長谷川等伯による襖絵《山水図》が使われている他は,狩野永岳が新たに描いています.観覧はいずれも部屋の外からのぞき込む形で,今回見ることのできたのは以下のとおりになります.
    北
  A│B│C
西─────東
  D│E│F
    南
A.狩野永岳《紅葉図》紙本金地着色
B.未見
C.狩野永岳《四季花鳥図》紙本金地着色・《琴棋書画図》紙本金地着色  ※「冬の京の旅」(JR東海?)のポスター,”小鼓を打つ舞妓さん”ヴァージョンの撮影場所はこの室です.また,《琴棋書画図》は北側西寄りの違い棚上部にある天袋の小襖4面になります.
D.狩野永岳《西園雅集図》紙本金地着色
E.[室中] 長谷川等伯《山水図》紙本墨画
F.狩野永岳《松図》紙本金地着色 ※西側の松の枝振りがなかなかの見ものでした.同じ妙心寺塔頭,桂春院(こちらは公開塔頭です)にある狩野山雪《松に三日月図》と比べてみるのもおもしろいかな.
この他に,方丈の西側にある1室に,《雲龍図》(紙本墨画・襖2面)などが展示してありました.この《雲竜図》も狩野永岳によるものらしく,もとは狭屋の間(方丈の東側の細長い室)の北側と南側の境にあったものらしいです.裏面は《波図》らしいですが,これは確認できませんでした.この龍もいささかもっさりした感じで,なんだか上方の役者絵を思い起こさせるものでした.
【メモ】「第40回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開」 期間:2006.1/14〜3/19 (社)京都市観光協会 http://www.kyokanko.or.jp/
【参考文献】

  • サントリー美術館妙心寺隣華院展長谷川等伯と襖絵』(展覧会カタログ,1982.5)※展覧会は未見.方丈障壁画のほぼ全図を掲載(ただし,白黒写真が中心).脇坂光演「隣華院縁由」,脇坂淳「隣華院客殿障壁画」など.
  • 『日本古寺美術全集24 妙心寺』(集英社,1982.9) ※《四季花鳥図》(C)中の床貼付(北側東寄り)〈渓流に山鳥図〉の部分図を掲載.
  • 彦根城博物館『伝統と革新−京都画壇の華 狩野永岳−』 (展覧会カタログ,2002.10) ※展覧会は未見.《西園雅集図》(D)の北側襖4面の図版と参考として方丈室内の写真4枚を掲載(いずれもカラー).脇坂淳「隣華院と狩野永岳の襖絵」,高木文恵「伝統と革新−京都画壇の華 狩野永岳−」など.
  • 山下裕二監修『狩野派決定版(別冊太陽 日本のこころ131)』(平凡社,2004.10) ※「狩野永岳」の項で《西園雅集図》(D)の東側襖4面の図版を掲載.この項の執筆は山下善也.