かけらを集める(仮)。

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 尾張のやまと絵 田中訥言  (名古屋城天守閣2F展示室)

復古大和絵の祖として知られる田中訥言(1767〜1823)の画業を概観する展覧会.
復古大和絵ということで,古典取材の緻密な濃彩画が大半を占めるのではと思っていたのだが,これが勘違い.画技の幅を広げるべく漢画を積極的に学び,写生をするなど,多彩な活動をしていたことを知る.
とは言っても,漢画系統の絵は今ひとつ線に切れ味がない.
訥言の魅力は絵巻模写で学んだテクニックや絵柄によるユーモア,あるいはストレンジな味わいを持つ作品だと思う.例えば《異形賀茂祭絵巻》[出光美術館]や《白象図》[個人],《太秦祭図》[名古屋市博物館]といった作品.どこかで見かけた人物がいたりもするけれど,生き生きとした楽しさがある.復古大和絵がよく取り上げる舞楽図にしても,「羅陵王」を描いたものなど,改めて見るとなかなかストレンジだ.
この他では琳派風のシックな,あるいは豪奢な草花図などが印象に残る.
全体的に時間をかけて準備されたなかなかいい展示だった.
1F展示室は,普段は名古屋城障壁画の(ごくごく)一部が展示されているが,今回は天井画が3点の他は2Fの特別展にあわせ「名古屋のやまと絵」と題すミニ企画展をやっていた.田中訥言とその弟子,渡辺清の作品とそれから森村宜稲《百花百草図屏風》.これは徳川美術館にある訥言の同タイトルの作品の模写.オリジナルは特別展に出ていた.
帰り際,特別公開中の東南隅櫓を観覧.これは名古屋城創建(1612年)当時の原形を伝える建物だそうだ.
それにしても,いつもながら城では歩かされる.寝不足もあって,へろへろになってしまった.
【メモ】「尾張のやまと絵 田中訥言」 2006.10/23〜11/23(前期10/23〜11/7・後期11/8〜11/23) ※一部展示替えあり 図録1500円