かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

「岩佐又兵衛展」、「福井の彫刻・立体 Vol.2 角喜代則・岩本宇司」(福井県立美術館)

特別展 福井移住400年記念「岩佐又兵衛展」
テーマ展「福井の彫刻・立体 Vol.2 角喜代則・岩本宇司」

「福井移住400年記念」という冠にはいささか驚かされたが、おそらく2004年千葉市美術館の又兵衛展以来の個展(又兵衛作品の大所蔵元のMOAの企画展を除くと、だけど)。
「序章 岩佐又兵衛現る」、「第一章 金谷屏風」、「第二章 絵巻」、「第三章 物語・歌仙図」、「第四章 風俗画」という章立て。序章は、MOAの《岩佐又兵衛像》と史料により、又兵衛の実像を描いて、展覧会全体のイントロとする。二章では、金谷屏風の復元を図り、12図中、現在所在のわかる10図を集める(ただし、10図全てが集まるのは、会期中の数日のみ。観覧した初日は8図が展示)。また、復元屏風などの展示もあり。なお、同じ展示室内で、又兵衛がその人が登場する山田芳裕のマンガ「へうげもの」の該当する部分の原画展示などもあり。三章は、又兵衛絵巻(本人の関与の高いもの、工房色の強いものの別なく、岩佐又兵衛筆としていた)を、全作(ただし、各作1巻程度)を展示。《山中常磐物語絵巻》、《堀江物語絵巻》、《小栗判官絵巻》、《上瑠璃物語絵巻》など。この他、最新の研究として料紙比較なども示される。三章では、物語に取材した各作品の他、福井県立美術館所蔵の《三十六歌仙図》が出展(これが大きなお目当てだった)。最後の四章では、舟木本《洛中洛外図屏風》、徳川美術館本《豊国祭礼図屏風》を中心に、「風俗」を主題にする作品が集められた。
展示替えや膨大な絵巻物が一部しか展示されないなど、大規模というには、いささか出展件数が少ないのだが、それでも、こうして作品が集められ、全体像を展望できるのはありがたく、おもしろかった。その上で、今一度どこかで、より網羅的な展覧会が企画されることを祈る。
図録あり。拡大図を多く含む。2500円。