かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

安曇野→松本


高田博厚《礼拝》(1982)[安曇野市豊科近代美術館]

まつもと市民芸術館・トップガーデンから。パブロカザルスの銅像があった。

  • ASUNAの東京でのライブはいつも被ってしまう。ことごとく。今回のvelveljinとのWレコ発ツアーも、9月7日に東京公演もあるのだが、当然、被って行けないのである。毎回ピンポイントで被ってしまう。いつもは泣く泣くあきらめるのだが、今回はちょっと違う。18きっぷもあることだし、会場もおもしろそうだし、と、松本公演に出かけることにしたのである。これが今回の一番のお目当て。
  • 昨年の夏、上諏訪神社両社を訪ねたので、今夏は、下諏訪神社両社を参拝し、近くの一度訪ねてみたかった万治仏にも行く、という日帰りの旅行計画を立てていたのだが、この計画も併せて実行することにした。また、この他、最近彫刻鑑賞に凝っていることもあり、せっかく松本まで行くのだから、もう少し足を延ばして、穂高碌山美術館を30数年ぶりに再訪することにした。さらに、いろいろと調べていると、安曇野市豊科近代美術館という美術館があって(いつの間にできた?笑)、そこには高田博厚の彫刻が200点近く収蔵され、常設展で観ることができると知った。これは訪ねないわけにはいかない。ということで、豊科近代美術館にも寄ることにした。
  • ということで、盛り沢山なわけだが、天気も上々で、観たいところ、行きたいところに行けたので、まあまあいい旅だったかと。
  • それでは、最初からメモしておこう。最寄り始発で東京駅まで行き、以下は、ダイヤで言うと、次のとおり。なお、本日は、土曜日ダイヤである。東京6:07中央特快→7:05高尾7:06→8:38甲府8:53→10:58松本11:19→11:46穂高。高尾での乗り換え時間が1分なので、これが乗り換えられるかどうかが、行きの焦点。ネットで調べた限りは大丈夫そうだった。とは言え、何があるかわからない。まあ、乗り換えは、同じホームでの乗り換えで、特快の乗客を拾ってからの出発だったので、無事に乗り換えることができた。というか、特快以外の乗り換えも待っていた模様? 数分遅れての出発だった。土曜日ということもあってか、大荷物の山登り/トレッキングの中高年客がとても多い(どういうわけか若者の登山客は皆無)。甲府行きには、高尾駅では座れない。(数駅行ったところで、通勤客が降りた後に座れた。)甲府駅で下車。ホームが変わるので、移動。のはずだったが、いつのまにか構内の蕎麦屋に入って、朝そばみたいなのを注文している、オレ笑 どうしたんだ、オレ笑 山菜や温泉卵をトッピングしたそばで、これがたいへん美味しい。オレは乗り換えの途中だったんだ、と思い出し、途中、慌てて食ってしまったのがもったいないぐらい。帰宅後、調べたら、普通に「いろり庵きらく」だったのだが… で、ホームへ。長い列が出来ている。座れないかなと思ったが、ベンチシート車両が来て、並んでいた乗客はだいたい座ることができた。大糸線も混雑。2両編成の上、行楽客が多く、沿線の学校の部活へ向かう学生も目立つ。なお、甲府から先は、普通列車は特急待ちやらなんやらがあり、普通列車自体は遅れていなくても、特急の遅れのあおりをくって、だいたい数分〜5分ぐらい遅れが常態だった。最初の目的地の穂高駅にはそれほど遅れずに到着。
  • 天気は朝のうちはいまいちだったようだが、だいぶ雲もなくなり、日が差している。暑いことは暑いが、酷暑ということはない。まずは碌山美術館まで歩く。ここに来たのは大学1年生のときに、N君と一緒に来たと思う。その時は、安曇野を歩きまわって、バスで中房温泉に行って、泊まった。ずいぶん昔の話だ。碌山美術館も碌山館以外ははじめてかもしれない。さて、安曇野アートラインのページに割引券があったので、これを印刷して持参。割引券利用で100円引きの600円で入館。


穂高駅前の銅像。タイトルは《登頂》。この日は、ちょうど道祖神祭の日で、注連縄が張られ、この銅像の下に祭壇ができていた。

  • 碌山美術館 受付を済ませ、入ってすぐのところに、荻原碌山《労働者》のブロンズ像がある。以下、順路に従い、碌山館→杜江館→第1展示棟→第2展示棟と回る。碌山館:碌山美術館というと、この建物を思い起こす人がほとんどだろう。この建物は、今井兼次設計で1958年の竣工。中には、荻原碌山の主要な彫塑作品や資料が展示されている。杜江館:1Fの展示室に、碌山の油彩やドローイングが展示されている。「杜江」は、碌山が、井口喜源治宛の書簡で使っている筆名とのこと。第1展示棟:碌山周辺の作家による近代彫刻の流れを展示。高村光太郎、戸張孤雁、中原悌二郎ら。中でも、光太郎作品をまとめて観ることができたのはよかった。この他、柳敬助、斎藤与里らの絵画もあり。第2展示棟:「高村光太郎編訳『ロダンの言葉』展 編訳と高村光太郎」が夏季企画展として開催中。『ロダンの言葉』のさまざまなバージョン、原稿類などの資料や解説パネルとともに、見ることができた。最後にグズベリーハウスに立ち寄る。ここはミュージアムショップや休憩所になっている。建築模型などもあった。ミュージアムショップに『碌山作品集』があった。4300円。ちょっと欲しかったが、重いし…で、今回はあきらめるなど。



荻原碌山《労働者》(1909年[明治42])。この作品は、第3回文部省美術展覧会(1909年[明治42])に出品されているが、その時は全身像だった。展覧会終了後、気に入らない部分を作者が切断し、現在の形になったという。膝の上に手のひらが残るなど、いわゆるトルソのような抽象性に欠け、これだけ見ると、いささかグロテスクである。


碌山館。

  • 碌山美術館の隣は、市立穂高東中学校で、グラウンドから部活をしている学生の声が碌山美術館にも届いていたのだが、碌山美術館の敷地からちらりと見てみると、なにやら彫刻のようなものがある。なので、美術館観覧後に確認しに行った。まあ、中学校の敷地なので「当校に用のない方は立ち入らないでください」なのだが、壁で囲っているわけでもなく、正面入口付近の庭に、3体、彫刻作品が立っていた。美術館がちらりと見えたのは、美術部+OBの作品らしかったが、なんと、荻原碌山《鉱夫》があるではないか、ということで、ちょっと見学させてもらうなど。


穂高東中学校の、荻原碌山《鉱夫》(1907年[明治39])。もちろん《鉱夫》は碌山美術館でも観ることができる。碌山の代表作の一つ。

  • 駅まで戻る道筋にseiyuがあったので、涼みがてら、入ってみる。と、なかなかの品揃えと価格である嬉 ということで、おにぎりなどを買ってしまう。余所のスーパーは楽しい(地元のスーパーは楽しくない?)。
  • 穂高13:08→豊科。2駅、6分ほど。電車は、松本へ向かう若者ばかりで、空いていた。駅のホームに早速高田博厚作品。さらに駅前にも2体。いずれも裸婦像だった。駅から歩いて、安曇野市豊科近代美術館へ向かう。10分強。少し暑くなってきた。美術館は市役所の裏手にあった。周囲が公園になっている。美術館は、豊科中学の移転跡地に建てられ、1992年4月に開館。コレクションの中心は、高田博厚の彫刻作品約200点と宮芳平を中心とする安曇野ゆかりの画家らの作品。高田博厚作品は、特に出身地でもないのだが、縁あってということで、収蔵されている。ちなみに、出身地の福井市美術館でも高田博厚作品がコレクションされ、常設展示されている。建物は、ロマネスク様式の修道院をイメージしたもので、回廊をめぐるように2F(企画展)と1F(常設展)の展示室を回るようになっている。2Fでは、80〜90年代生まれの若い作家による「美術館ワンダーランド2017」が開催中。また1Fの常設展示室4では「没後30年記念・高田博厚の素描展」が開催されていた。



豊科駅のホームにて。高田博厚《裸婦立像》。


豊科駅。



豊科駅前。高田博厚《空》(1978)[上]と高田博厚《地》(1978)。


安曇野市役所。


安曇野市豊科近代美術館(正面)。



美術館正面に設置されているのは、高田博厚《礼拝》(1982年)

  • 「美術館ワンダーランド2017」 出展作家:齋藤春佳、しもかわらさとこ、竹内功、出倉誠一、濱口佳純、水戸部七絵 それぞれ1室を使って、彼女/彼らの作品の展示。この他に、出展作家によるワークショップで作られた作品も回廊に展示紹介。何人かの作家は、通常絵の具でないものを使って、絵を描く、イメージを生み出し、定着させるという感じか。
  • 常設展示 1F回廊を巡るように4室の常設展示室や中庭などを回る。展示室1、2では、高田博厚関連の展示。また、3では、宮芳平関連の展示。回廊、中庭などにも多数の高田博厚彫刻が展示されていた。女性像、あるいは、そこから派生したトルソ、著名人の胸像など。ガンジーの胸像が素晴らしい。特に胸の上に置かれた手の描写。
  • 豊科14:49発に乗車。今度は混んでいる。松本に向かう若者だけではなく、そろそろ帰路に就く登山客が多数。30分ほどで松本に到着。一つ前の北松本駅で行き違いの列車待ちで、ちょっとじれる。
  • まつもと市民芸術館 伊東豊雄建築。2004年竣工。コンサートホールや小劇場、スタジオなどがある劇場。なのだが、公演中以外にも、シアターパーク(2Fのメインロビー)や屋上のトップガーデンに入ることができる。ということで、1Fから入り、2Fへの大きな階段(長大なエスカレーターもあり)を上り、シアターパークを見学。その後、屋上にあがり、トップガーデンで一休み。トップガーデンからの周囲の眺めが素晴らしい。


正面入口付近。




シアターパーク



トップガーデン。手すりとベンチが外周を取り巻いている。芝が長めに刈られていて、ふわふわして気持ちがいい。ちょうどスプリンクラーか、なにかで水を撒いた後だったのか、芝はびっしょりと濡れていた。



トップガーデンに、銅像が2体。ともに城田孝一郎の作で、《パブロ・カザルスの胸像》(上)と、庭木に隠れるようにして《女性と鳥(春秋)像》が設置されていた。



建物の裏手、壁沿いに池が造られていたのが、おもしろい。意外に大きな鯉が泳いでいた。

  • 続いて、松本市美術館へ。時間の都合もあり、今回は展示はパスする。オレ向きの企画展の時にでも、再訪しようと。




自販も、バスも、水玉。

  • あがたの森文化会館 あがたの森公園の一角に残る旧制松本高校の建物を利用した文化施設。旧制松本高等学校校舎は、1920年(大正9)に竣工した校舎は洋風木造建築で、1973年(昭和48)まで信州大学の校舎として使用された。現在は、市民の教育文化活動に利用されている。重要文化財。今日のライブ会場の、旧制松本高等学校講堂は、校舎と向かい合うように建っており、1922年(大正11)に竣工。オリジナルを復元したシャンデリアが美しい(オリジナルは第2次世界大戦中に金属部分の供出などで失われた)。公園は樹木が多く、ひろびろとして気持ちがいい。日本庭園や芝地などもあり、親子連れが多く訪れていた。ベンチも多く、しばらく木陰のベンチで一休みする。周囲に高校が数校あり、ひっきりなしに下校の学生が通り抜けていく。


あがたの森文化会館の正面入口。一部はあがたの森図書館としても利用されている。


こちらは、講堂。



旧制松本高等学校校舎は、コの字型の建物で、その中庭に、銅像2体。1体は 洞沢今朝夫《岳人》(1979年[昭和54])[上]。信州らしい、登山姿の若者の像。もう1体は、上條俊介《蒼穹》(1999年[平成11])。信州大学の開学50周年を記念して、信州大学文理学部同窓会が設置とのこと。こちらは男性裸体像(股間若衆!)。

  • ライブ:mononomonooto、daborabo、ASUNA、velveljinの順。お客の少ないのがちょっと残念。ASUNAの新譜を購入。
  • 21:00を少し回ったところで、公演終了。松本駅まで歩く。20分弱。駅前で適当な夕食を適当に食らう。22:10発の甲府行きに乗車。今回は、土曜日の夜で、直前に急に出かけることにしたこともあり、松本では宿が取れなかった(というか、高くて手がでなかった)。なので、翌日の目的地である下諏訪近くの岡谷まで行き、ここに宿泊することにした。岡谷までは30分ほど。ここから歩いて10分強のホテルに宿泊。23:00頃、チェックインできた。風呂に入って、すぐに就寝。iPhone、今日のところは、電池の減り方は普通。