かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

盛岡→田沢湖

  • 盛岡へ行ってきた。お目当ては、盛岡の舟越保武作品をはじめとする野外彫刻を探ることである。東北とはいえ、全く涼しくはなく、たいへんな猛暑にはいささかまいったが、まあまあ、予定をこなし、多くの野外彫刻を探ることができた。
  • 今回は往復とも東北新幹線を利用した。といっても、できるだけ交通費を節減したいので、えきねっとのトクダネ35を利用した。やまびこ利用に限られるが、往復ともうまいぐあいにチケットがとれて、東京-盛岡間が片道9240円で乗ることができた。
  • 最寄り始発で、東京駅まで移動。定時に到着。東北新幹線の乗り場に移動し、6:04発のやまびこ41号に乗車、定時運行で、盛岡には9:19に到着。新幹線で仙台よりも先に行くの初めてのこと。岩手県には、平泉など、南部には行ったことがあるものの、盛岡も初めて。まず、東口のバス案内所に行き、岩手県交通の「盛岡Bus Passport WIDE」(2日券)1500円を購入する(以下、パス)。このパスは盛岡と盛岡周辺の観光地を通る一部路線/区間を自由に乗り降りできるもの。特定の路線以外に乗る場合、あるいは乗り越す場合には、別に料金が必要になる。事前のシミュでは、バス料金が、パスの指定路線だけでも、2日間で1500円を軽く超えるので、これを購入した。
  • いわて県民情報交流センターのアートワーク まずは岩手県立美術館に行くつもりだが、バスまで間があるので、西口のいわて県民情報交流センター(アイーナ)に行ってみる。アイーナは県立図書館などの入った複合施設で、2006年開館。安田侃作品が設置されていることは知っていたが、他にもさまざまなアートワークが設置してあった。以下、その中から、彫刻・立体作品をいくつか掲載。他に平面(写真含む)や映像作品などもあった。 >参考:TOSHIO SIMIZU ART OFFICE> ainnaいわて県民情報センター


安田侃《天秘》(2003-2004)



奈良美智《もりおかわんこ》(2005)


ロリアン・クラール《ムーブメントNo.2−放射線状に広がる絹雲−》(2005)


舟越桂《風の日のスフィンクス》(2005)

  • 岩手県立美術館 岩手県立美術館は、駅から歩けないこともない距離のところにあるが、いかんせん猛暑なので、おとなしくバスで行くことにした。先ほどのパスが使える。岩手県交通バスの盛南ループ200(下河原先回り/左回り)、盛岡⑩10:00発に乗車。15分弱で県立美術館前バス停に到着。ループ200の「200」は料金が最大200円の意とのこと、車内放送で知る。まず美術館の周囲を見て回る。野外彫刻が2基あった。続いて、常設展(2018年第1期)を観覧。410円。常設展は常設展示室、萬鐵五郎展示室、松本竣介舟越保武展示室の3室あり、エントランスにもマイヨール《三人の妖精》(1937)などの彫刻が展示してある。各展示室は広く、常設展示室では、「特集:𠮷田清志−日本の山々−」他、岩手県ゆかりの美術家の作品、他の室はそれぞれ名を冠した美術家の作品が展示してあった。萬鐵五郎、松本竣介舟越保武の展示室はちょっとした回顧展の規模と内容で、常設展とはいえ見応えのあるものだった。舟越保武関連で言えば、半分が戦時中から晩年までの作品で、石彫の作品も多く出ていた。《魚》や《青い魚》が観られたのがオレ的にうれしいところ。残りの半分がキリスト教に関わる作品で、《長崎26殉教者記念像》のうちの4像や《原の城》(1971)や《ダミヤン神父》(1975)、《聖マリア・マグダレナ》(1984)などの代表作も。中でも《原の城(頭像)》(1963)の実物を初めて観ることができた。また、エントランス設置の寄託作品、柳原義達《岩頭の女》が観られたのもよかった。





岩手県立美術館




岩手県立美術館・野外彫刻の、舟越保武《道東の四季−春−》(1977/ブロンズ)



岩手県立美術館・野外彫刻の、土谷武《鉄と石》(1972/軟鋼・白花崗岩



柳原義達《岩頭の女(ひと)》(1978/ブロンズ)[陸前高田市教育委員会より寄託]。左腕がもげ、両足も足首から下が失われている。ところどころに打撃痕があり、穴のあいているところすらあった。この作品は、1978年3月、陸前高田市体育文化センターの開設記念に中庭に設置されたもので、2011年3月の東日本大震災の際、津波によって台座から分断され、激しく損傷した。瓦礫の中から発見され、全国美術館会議の支援により脱塩・錆止めなどの応急処置が施され、岩手県立美術館で開催された常設展特集展示「救出された絵画たち−陸前高田市立博物館コレクションから−」に際し、公開された。その後も同館常設展で展示され、陸前高田市での受け入れ体制が整うのを待っているとのこと。

  • 高松の池 盛岡ループ200の、県立美術館前12:01発の、今度は右回りでいったん盛岡駅前に戻り(パス利用)、盛岡駅前⑪から、12:32発の松園バスセンター行に乗車する。15分ほどで高松の池口バス停に到着。220円(パス不可)。高松の池の周囲も含め、公園になっており、池を1周する遊歩道が設けられている。この池をぐるっと右回りに1周歩き、佐藤忠良作品などを探る。下記の他にも肖像彫刻などがあるようだが、少し離れたところにあるようで、見落としてしまった。


高松の池



平和祈念慰霊碑《平和の礎》(シベリア抑留平和記念像「ひまわり」)(1994.10.12設置)。像の制作は、佐藤忠良。財団法人全国強制抑留者協会と岩手県慰霊碑建立委員会による。第2次世界大戦後、シベリアなどに強制連行され、過酷な労働と飢餓、酷寒で死亡した1200名超の岩手県人の犠牲者の、「尊い御霊を鎮め、世界の恒久平和を祈念して」建立された。


木の陰で、地上に上がった鴨のご一行が休んでいた。



平和祈念像《望み》(1995.8設置)。岩手県生活協同組合連合会、岩手県地域婦人団体協議会、岩手県青年団体協議会、岩手県原爆被害者団体協議会による。像の制作は増山俊春。舟越保武が監修した。

  • 冷麺 高松の池口バス停13:31発に乗り、再び盛岡駅に戻る。220円(パス不可)。次はたつこ姫にお会いすべく、田沢湖に向かうのだが、列車まで少し時間があるので、駅ビルの地下の、寿々苑という店で、冷麺を食らった。辛さは中辛(ふつう)にしたが、スープの色ほど、辛くはなかった。西瓜、ちゃんとのっていた。なかなかおいしかったが、ちょっとコスパが悪いか苦笑。980円+税。


  • 田沢湖 田沢湖線普通列車の本数が少ないので、やむなく秋田新幹線で向かうことにした。こまち19号、盛岡14:35→15:09田沢湖に乗車。乗車券760円+特急指定席券1270円。これは事前に購入しておいた。定時に田沢湖駅に到着。駅と同じ建物内に、観光案内所、バス案内所が設けられており、また、田沢湖周辺の地形に関わる展示などもあった。バス案内所で、田沢湖畔一周観光記念乗車券を購入し、羽後交通バスの田沢湖一周線で田沢湖をぐるっと回る。1190円(ちなみにこのチケット、バスに乗りっぱなしなら、特に割引きがあるわけではない。)。田沢湖一周線は、一日に数本走るが、日中の3本については、潟尻(20分)と御座の石(10分)で停車し、バスを降りて、観光することができる。これを利用して、《たつこ像》を観覧することにした。田沢湖駅15:25→15:55潟尻(20分停車)16:15→16:25御座の石(10分停車)16:35→16:56田沢湖駅という予定。田沢湖駅前15:25発に乗車。田沢湖で乗車したのはオレ一人だった。その後、行きの田沢湖畔バス停で女性2人が乗車、ぐるっと1周した後の帰りの田沢湖畔バス停で男性1人が乗車した他は乗客はいなかった。まだ夏休み前の平日なので、こんなものか。田沢湖畔バス停から田沢湖沿いの道路を左回りでぐるっと1周する。湖を半周した潟尻で20分ほどの観光タイム。ここで、お目当ての、たつこ像を観覧する。混雑というほどではないが、《たつこ像》の付近には、マイカーでやってきた観光客らも含め、次から次へと観光客がやってきていた。再びバスに10分ほど揺られ、次は御座の石バス停で10分の観光。時間が短いので、観光できるのかな、とも思ったが、御座石神社を参拝するぐらいで、十分な時間だった。御座の石というのは、慶安3年(1650)に秋田藩藩主主の佐竹義隆が田沢湖を訪ねた際に、社前の石に腰をかけて休んだことに由来するとのこと。湖岸の際に鳥居がある。湖面がライトブルーで美しい。再び20分強、バスに乗り、田沢湖駅に無事帰着。


田沢湖。潟尻のあたりから。



舟越保武《たつこ像》(1968.5.12設置)。田沢湖辰子姫伝説にちなみ建立された。高さは2.3m。表面は金箔漆塗り仕上げで、これは(かつての)強い酸性の湖水により腐食しないようにするためとのこと。


極酸性の玉川温泉の温泉水が流れ込んだために、一時は湖の魚類は絶滅したそうだが、その後、温泉水の中性化など水質改善が進み、魚も生息するようになったようだ。写真上、魚影がなかなか濃いのであった。


御座石神社の鳥居。



田沢湖を象徴するライトブルーの湖面。御座石神社付近にて。


田沢湖駅から秋田新幹線「こまち」に乗る。「こまち」は今回初めて乗車した。たった1区間だけだけど。

  • 再び盛岡へ 帰りは田沢湖駅17:54発の田沢湖線普通列車に乗るつもりだったが、列車までまだ1時間もある。しかも、普通列車の前にこまちが2本先に行く。ということで、待ちが苦手のオレは、結局、次にやってくるこまち32号17:12発につい乗ってしまったのであった。まあ、いいや…。盛岡には17:48の到着。盛岡ではやぶさと連結するので、その作業のため、止まったり、動いたりを繰り返し、3度目の停車でドアが開いた。
  • 材木町の宮沢賢治 これで、一応、今日の予定は終わりだが、せっかく新幹線(といっても、乗った区間は在来線だけど)で時間を稼いだのだから、駅の近くの野外彫刻を少し探ることにした。北上川にかかる旭橋を渡り、材木町のメインストリートを歩く。この通りに、宮沢賢治に取材したモニュメントがいくつか設置してある。これがお目当て。


「材木町案内図」。《宮沢賢治像》のある石座にはじまり、賢治の世界をモチーフにした、6つの座が通りの左右に連なっている。


石座の、宇野務《宮沢賢治像》(1993.3建立)。


音座のチェロ。

  • ということで、さすがに疲れてきた。近くのスーパーに立ち寄り、ようようホテルにチェックインする。本日宿泊したのは、盛岡ニューシティホテルという駅近くのビジネスホテル。Wi-Fiも、シャワートイレもあり、希望したら、氷も部屋まで持ってきてくれた。枕元にコンセントもあった。軽朝食つきで、4000円強。部屋もバスタブも狭かったが、特に難はなし。風呂に入り、早々に寝る。