かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 『個性の競演 江戸時代中・後期の絵画』

奈良県立美術館の館蔵品展です.江戸時代の中・後期の絵画を「江戸の浮世絵師たちI」「江戸の浮世絵師たちII」「江戸時代の御用絵師とその他の絵師たち」「京都の絵師たちI」「京都の絵師たちII(円山派)」「京都の絵師たちIII(四条派)」「京都・大坂の絵師たち(原派・岸派・森派あど)」の7パートに分けて紹介しています.浮世絵系の作品が半数を占めたためか,全体的に美人画が多かったような気がします.パートによってはちょっと薄味のところもありましたが,全体的にはなかなか見どころ多数でした.

ここでのお目当ては,

だったのですが,これ以外にもけっこうおもしろいものが多く,いや〜おもしろかったです.たとえば,次のものなど.

  • 菊池容斎〈五百羅漢図〉 ※洞窟みたいなところにうじゃうじゃと羅漢さんが大集合しています.細部が緻密で,それでいて画面に軽みもあり,おもしろかったですね.同じ容斎の十六羅漢図〉もなかなかよろしい.なお,この後,行った京博でも明兆はじめもっと古い時代の羅漢図が出ていて,こちらもおもしろかったですね.
  • 長沢蘆雪〈幽魂の図〉 夏らしく幽霊の絵です.なんて呑気なことは言っていられません.応挙の幽霊などははかなげであったりするのですが,弟子の蘆雪はかなり怖い幽霊になっています.薄墨で幽霊のバストアップを描いているのですが,墨の薄さ加減とともに白目を剥いているその目つきといったら,背筋ぞくぞくものです.前日のバーク展で見た,〈月夜瀑布図〉と同じ系統ですかね.
  • 呉春〈風雪三顧図〉 ※劉備玄徳が三顧の礼をもって諸葛孔明を迎えに行った場面を描いたものですが...最近,ちょっと呉春の描く人物にはまりつつあります.なんていうか,鼻の下が長くて,だんだんと日本猿化してく人間というか...その「変」がなかなかいい感じに思えてきたりして...この〈風雪三顧図〉はそれほどでもないのですが,でも,三国志の英雄たちには見えないよね.というのがいい感じでしたね.

などなど.

他に番外編として,

  • 曾我直庵〈架鷹図(押絵貼)屏風〉紙本着色・6曲1双のうちの左隻 

が最後に展示してありました.これはH13年度に収蔵したもので,このほど修復が終了したので,そのお披露目としての展示です(右隻は先に展示済み).架鷹図は厩図などとともに武士向けのタイトルですが,さすが鷹の描かせればトップ・クラスの直庵だけあって,実に緻密に鷹を描いていました.

奈良県立美術館 『個性の競演 江戸時代中・後期の絵画』
 会期:2005.8/6〜9/25 月曜日休館 ※若干の展示替えあり.