かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 『青木コレクションによる 幕末明治の浮世絵』『写楽・歌麿と黄金期の浮世絵』(千葉市美術館)

千葉市美術館で所蔵展を見てきました.今回の所蔵展は,8Fが『青木コレクションによる 幕末明治の浮世絵』,7Fが写楽歌麿と黄金期の浮世絵』で,全部で250ほどの浮世絵が展示してありました(3枚続き,5枚続きも1枚としてカウントされていたから,枚数にすれば,もっと多かったですね).
青木(元治)コレクションは,幕末から明治のはじめにかけて日本橋の魚商の集めた当時の浮世絵が青木氏に伝来したもので,全部で600作ほどのコレクションだそうです.現在,千葉市美術館に寄託され,これまでにも展覧会で紹介されてきたものですが,今回の『幕末明治の浮世絵』展は,この中から150作をセレクトしての展示でした.個人的に興味深かったのは,明治5年の元昌平坂聖堂で開かれた博覧会に関するもの.博覧会風景を描いたものや,博覧会で展示されたものに焦点を当てたものなど(...がらくたにみえたりして...),数種あったのですが,そのいずれにも名古屋城金の鯱がわりと中心に描かれていたのが,なかなかおもしろかったです.この展覧会のちらしには,昇斎一景《東京名所三十六戯撰 元昌平坂博覧会》が使われているのですが,この金の鯱に腰を抜かし,手を合わせ拝んでいるちょんまげ姿の男たちがなんとも微笑ましい.それから,この昇斎一景《東京名所三十六戯撰》シリーズなど,まるで滑稽本の挿絵のように描かれた街中の風景も,小林清親や井上安治によって文明開化期の都市風景を思い描いてきた目からすると,ちょっと意外でおもしろいものでした.最後の方ではたっぷりとおもちゃ絵が展示してあり,猫や鼠を擬人化したその絵柄が可愛かったです.
写楽歌麿と黄金期の浮世絵』は,タイトルのとおり,天明・寛政期の江戸浮世絵を,館蔵品・寄託品によって紹介する展示.写楽歌麿をはじめ,鳥居清長,歌川豊国,鳥文斎栄之など.版画のみならず,絵入り版本や肉筆も多く出ていました.また,肉筆浮世絵中には摘水軒記念文化振興財団所蔵のものがわりと多かったです.
両展とも,10/16までです.