かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 大阪市立美術館・常設展

続いて,天王寺公園内にある大阪市立美術館を行きました.この美術館には何度も来ているのですが,常設展をじっくり見るのは実は今回が初めてです.なかなか充実したコレクションで,お目当ての「近世花鳥画以外のコーナーも見応えがあるものでした.折から特別展『ミラノ展』が開催中で,館内はけっこう混み合っていました.さすがダ・ヴィンチ!...でも,『ミラノ展』はパス.
さて,常設展の「近世花鳥画の展示です.まずは,展示リストから

  1. 作者不詳《四季花鳥図屏風》 6曲1双・紙本金地着色 桃山時代17c 田万コレクション
  2. 狩野宗秀《四季花鳥図屏風》 6曲1双・紙本金地着色 桃山時代16c 田万コレクション
  3. 伊藤若冲《群鶏図押絵貼屏風》 6曲1隻・紙本墨画 寛政9(1797)
  4. 岡本秋暉《花鳥図巻》 1巻・紙本着色 江戸時代19c
  5. 長洲《紫藤図扇面》 1面・紙本墨画淡彩 江戸時代19c
  6. 中村芳中《蓮図扇面》 1面・紙本着色 江戸時代18-19c
  7. 尾形光琳《秋花山水図画稿》 江戸時代17c
  8. 尾形光琳松鶴図屏風画稿》 1巻 江戸時代17c
  9. 尾形光琳《円形図案集》 江戸時代17c
  10. 尾形光琳《図案小品集》 江戸時代17c
  11. 岸駒《牡丹孔雀図》 1幅・紙本着色 天明5(1785)
  12. 原在中《孔雀図襖》 6面・紙本墨画 江戸時代18-19c
  13. 「対青軒」印《藤袴図屏風》 6曲1双・紙本金地着色

いや〜,意外に,と言っては失礼ですが,個人的には期待した以上に充実した展示を見ることができて,大満足です.というのも,サイトに掲載されていた2の1点を見ることができれば可なり,ぐらいに思っていたのですが,光琳の図案集・画稿(7〜10),若冲岸駒原在中,さらには最近マイ・ブームになりつつある大坂の癒し系琳派(?)中村芳中までも見ることができたからです.
2は,お目当てということもあったのですが,やはりおもしろかったですね.やや傷んでいるのが玉に瑕ですが,右隻の鶴,左隻の孔雀をそれぞれ中心とした画面の随所にうかがうことのできた狩野宗秀の力強い筆致は図版で見たのときには感じられないものでした.3はタイトルが「群鶏図」となっていますが,つがいの鶏(と雛数羽)を描いた墨画を押絵貼にした屏風.若冲作品ではよく見かけるタイプのもので,キャラ化した鶏の表情(特に目っ!)が可愛らしい.それと,雄鶏の尾羽の筆致がおもしろいかったですね.12の原在中の襖絵はなかなか大胆な構図でした.孔雀を大きく描いたものですが,2羽並んで飛ぶ孔雀の姿など印象的でした.13は藤袴の群生を描いた意匠性の高いもので,これまた意外におもしろいものでした.薄(と月)をデザインした武蔵野図の系統から出てきているのだと思いますが,宗達《芥子図屏風》あたりからの影響だと思いますが,先日『ニューヨーク・バーク・コレクション展』で見た《大麦図屏風》同様単一の植物を使ってデザインした大画面が興味深かったです.ところで,描かれた植物はやはり注文主のリクエストなんでしょうか? 大麦もなかなか意外だったのですが,探せばもっと奇妙,もっとユニークなものがあるかもしれませんね.このあたりも気になるところです.(←MOA美術館に《鶏頭図屏風》あり.)
この他の常設展は密教絵画」「明末清初の書画」「近代日本画」「中国の彫刻 山口コレクションを中心に」「山口コレクションの金工 中国青銅器」「日本の陶磁 肥前磁器を中心に」「中国・朝鮮半島の陶磁 古染付と呉州赤絵を中心に」など.個人的には,陶磁器の展示,特に「中国・朝鮮半島の陶磁」に見応えがありました.