かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 没後30年 高島野十郎 展  (三鷹市美術ギャラリー) 

最近,にわかに注目度の高まる高島野十郎(1890〜1975)の回顧展です.写実の凄みをまざまざと見せつけられる展覧会でした.
青年時代の険しく,時にシニカルで虚無的にも感じられるいくつかの自画像も印象に残りましたが,この時代の作品だと,静物画に描かれている主題−例えば,りんご−の「ゆがみ」にとても惹かれました.しかも,その「ゆがみ」には,ある種の美しさが潜んでいるような気もして.野十郎は,ヨーロッパから戻ってきて,以後の人生の中でひたすら写実を突き詰めていきます.単に精密で凄みがあるだけではなく,よくよく見れば,青年時代ほどあからさまではないものの,やはり「ゆがみ」が反復されています.木の幹の曲線や蝋燭の炎といったものにそれがうかがわれるのですが,それが野十郎の写した世界の美しさを支えているのではないか,などと思ったりもしました.
最後のパートは,月の絵画と蝋燭の絵画を集めていましたが,それはとてもまばゆいばかりに明るかったのが印象に残りました.
【メモ】三鷹市美術ギャラリー 2006.6/10〜7/17