かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

「夷酋列像 蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界」、総合展示室(北海道博物館)

夷酋列像」構成:
第一章 夷酋列像の系譜
第二章 夷酋列像をめぐる人
第三章 夷酋列像をめぐる物
第四章 夷酋列像をめぐる世界

第一章は、オリジナルの蠣崎波響《夷酋列像》[ブザンソン美術考古博物館]を中心に、波響による別本、あるいは写本、粉本などの「夷酋列像」諸本を集積し、その系譜をたどっている。第二章は、主に、南蘋派などの同時代の絵画作品を展示し、「夷酋列像」の描かれる美術史的な背景を示す。第三章では、衣類などの民族/民俗資料の展示によって、「夷酋列像」に描かれた、物の意味を探る。そして、最後の第四章では、同時代の地図や地誌などによって、「夷酋列像」に潜む世界観を浮き上がらせる。おおよそ、以上のような構成・内容の展覧会であった。
なんと言っても、第一章が、この展覧会のハイライトとなるべき箇所で、ブザンソン本を、展示ケースではなく、壁面に額装展示するなど(近接して観ることができる)の展示方法も含め、もっとも見応えがあった。また、諸本の整理などの解説パネルも充実していた(図録にも収録)。
オレ的には、今年観た展覧会の中ではベスト5に入る内容だったが、難を言えば、会場が狭かったこと(特に第1章展示のスペース)、キャプションの文字量が多かったこと(説明は多くてもかまわないのだが、必然的に文字が小さく読みづらくなり、また、読むのに時間を要し、人の流れにボトルネック状態が起きてしまうことがちょっと困る)。
図録(P194、2000円)も充実した内容で、よし。特に拡大図が豊富で、各図比較などでも重複をいとわず図版を大きく載せていて、ありがたかった(コラム・論文はこれから読むのだが)。