かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

彫刻放浪:府中市の野外彫刻その他

  • 府中市美術館で開催中の「リアル 最大の奇抜」の後期展を観に行くので、併せて、府中市を中心に、京王電鉄沿線にあるいくつかの野外彫刻なども観てきた。天気のよい暖かな(というか、暑い)一日で、午後から少し風が強くなったが、野外で過ごすにはいいコンディションだった。
  • 分倍河原駅前の新田義貞像など まずは分倍河原の合戦に因む新田義貞像を観覧。これが今日の初銅像。続いて、博物館まで歩く。GMで調べておいた最短ルートが通行不可で、ちょっと道に迷いかけたが、途中からは、下河原緑道を歩き、無事に到着。20分強。途中に、緑道の途中に少女像があった。



新田義貞公之像》(1988.5設置)。府中市分倍河原の合戦に因み、駅前に新田義貞像を建立。像の制作は富永直樹が担当。義貞は鎌倉幕府のある南に顔を向けている。


《そよ風》(1979/1982.3設置)。説明板に「そよ風 帽子をかざし、吹く風に向って踊っているような少女の像は、自然の豊かさを称えたものです。 昭和五十七年三月府中市」とある。作者名は明記されていないが、高橋剛か?(苫小牧市高橋剛《緑の風》と同じか?) 追記:(2018.9.1記)苫小牧市の《緑の風》と同じ作品であるが、作者は、苫小牧市のサイトにある高橋剛ではなく、木内禮智。写真のサインは「Reichi」と読める。なお、本作は隠れた名作!?で、いろいろなところに設置されているようだ。

  • 府中市郷土の森博物館の野外彫刻 府中市郷土の森博物館は、常設展示などの展示室のある本館と、移設・復元された江戸時代から昭和までの建物や庚申塔などを配置した広大な庭園からなる施設で、オレが来たのは今回が初めて。入館料は一般200円(5月から300円になる模様)。本館の周辺に、速水史朗の石の彫刻作品が3基設置されていた。また、庭園には3基のブロンズ像の他、先にも記したように庚申塔などがいくつか移設されていた。庭園のブロンズ像は、いずれも若葉のやわらかでみずみずしい緑に彩られていた。また、庭園内に「水遊びの池」があり、すでに親に見守られた小さな子たちがたくさん歓声を上げて遊んでいた。


本館前の、速水史朗《魂》(1986設置)


同、速水史朗《祖》(1986設置)


本館中庭の、速水史朗《蔵》(1986設置) なお、窓越し眺めるだけで、中庭には入ることができなかった。




庭園の、佐藤忠良《裸のリン》(1977/1990.3.3設置)。説明板によると、府中市が永年実施してきたグリーンシティ計画に対し、昭和62年度に「緑の都市賞」が、府中市郷土の森建設に対し、平成元年度「手づくり郷土賞」がそれぞれ授けられたことを記念したモニュメントとして設置されたとのこと。





庭園の、北村西望《無限 夏の星座》(1922/1992設置)。府中市では、1992年から2002年までの間に、彫刻のあるまちづくり事業として、「水と緑と彫刻と」をテーマに市内各所に17の野外彫刻を設置している。これは、その2番目に設置された作品。


庭園の、《川崎平右衛門翁》(1991.5設置)。像の制作は、関頑亭。ちなみに、この人は山口瞳旅行記に同行者としてよく出てくるドスト氏のことだとか。へえ〜。


ティラノザウルスもいた。本館の特別展で恐竜展を2回開催している縁で、国立科学博物館からもらったものだそうだ。


最後に、庚申塔を一つ、というか、三つか。

  • 郷土の森公園の野外彫刻 博物館の東側に郷土の森公園があり、芝地や修景池(ハス池)の他、体育館や野球場などの運動施設や交通遊園がある。修景池のほとりに2基の彫刻、総合体育館横に清水九兵衛作品がそれぞれ設置されていた。ひとわたり見おわった後、バス待ちの間、売店でアイスなど買って食らっていたのだが、すぐ近くに大行列ができていた。何だろうと覗きにいったら、交通遊園のゴーカートが子供たちに大人気で、その順番待ちの大行列だった。


修景池の、《ハス博士大賀一郎先生》(1979/1979.7設置)。制作は三坂耿一郎。台座の説明板によると、大賀一郎博士は晩年の20年を府中で過ごされたとのこと。この胸像は、博士の仕事を讃えるとともに「府中の人々とのふれあいを記念してこれを建てます。」とのことで、府中市民の有志によって建立された。



修景池の、一色邦彦《緑光燦舞》(1993)。これも、府中市の彫刻のあるまちづくり事業による設置。





府中市総合体育館横の、清水九兵衛《MAIKAZURA》(1988) 。追記(2020.5.5):タイトル板には「1988」とあったが、『清水九兵衛野外彫刻作品 1973-1994』などでは「1982」となっている。タイトル板の誤記とも思えないので、1982年に制作・設置され、1988年に命名・タイトル板が設置されたということか? いささか不審。

  • 戻りは、バスに乗ることにした。京王バス・分52/郷土の森総合体育館12:03に乗車。10分ほどで、終点の分倍河原駅に到着。分倍河原からは京王線で東府中まで移動。ちょうど準特急が来たので、これに飛び乗る。次の府中で、この準特急を待ち併せていた各停に乗り換えて、東府中へ。ここからは歩く。行き忘れないために、まず府中の森公園を通り抜けて、府中市生涯学習センターの野外彫刻を観に行く。前回来た時に見にいくつもりだったが、展覧会を観たら、すっかり忘れてしまった苦笑 府中の森公園を抜ける際に、《鳩をもつ少年》のところに立ち寄るが、またしても真っ黒な写真しか撮れない。う〜む。公園は、GW中ということもあって、人が多かった。


平和の森公園の野外彫刻。石の台座の上に、ブロンズの少女と鳩。銘板が見当たらなかった。台座のサインから、作者は森田やすこ、1989年の作。タイトルは《鳩と少女》?


府中市生涯学習センター前の、永廣隆次《雲》(1984)。府中市の彫刻のあるまちづくり事業による設置作品。

  • 府中市美術館 企画展「リアル 最大の奇抜」(後期)、常設展「寺田小太郎コレクションの魅力」を観覧。最初のセクションに展示の、韓国の抽象絵画がおもしろい。企画展2回目の観覧なので、リピーター割引きで350円だった。


早くも次回予告!

府中市美術館前の、若林奮《地下のデイジー》(2002設置)。この美術館に来る度に、このデイジーを観るのが楽しみのひとつ。これも府中市の彫刻のあるまちづくり事業による設置作品なのね。なお、現在、府中市の彫刻のあるまちづくり事業によって設置された17作品は、府中市美術館が維持管理しているようだ。
>府中市 パブリックアート

  • 多磨霊園駅北交差点の野外彫刻 次の目的地は多磨霊園駅なのだが、東府中から1駅なので、美術館から歩いてみることにした。20分ほど。どこかで休憩でもすればいいのだが、つい時間を惜しんで歩いてしまう。さすがに、疲れた。今回の府中市内の野外彫刻見物はこれで終わり。


多磨霊園駅北交差点の、岩野勇三《りか》(1984/1995設置)。府中市の彫刻のあるまちづくり事業による設置作品。

  • 永福町駅佐藤忠良 多磨霊園駅から京王線に乗車。座れたので、調布で乗り換えず、このまま各停に乗っていくことにする。爆睡ののち、目が覚めると桜上水だった。明大前で井の頭線に乗り換えて、永福町で下車。駅のコンコースに設置されている佐藤忠良《冬の像》を観る。そういえば、先日、佐川美術館へ行った際も、池の中に立っているこの像を観た。この像が設置されたのは、2011年で、さすがにもう公共空間に裸婦像を置くことはNGで、数ある佐藤忠良作品中からこの作品が選ばれている。像の背後には、佐藤忠良のプロフィールの他に、「永福町駅と文化人」という解説パネルが設置されていた。




佐藤忠良《冬の像》(1985/2011.3設置)

  • 渋谷区総合文化センターの安田侃 再び永福町から井の頭線に乗り、渋谷まで移動。まだ時間に余裕があるので、渋谷区総合文化センターの安田侃作品を観に行くことにした。



安田侃《鬼門》(2010)


安田侃《天秘》(2010)

  • 大手町のPA東京サンケイビルと大手町ファイナンシャルシティ まだ多少明るいので、最後に大手町に清水九兵衛作品を観に行くことにした。半蔵門線で渋谷から大手町に移動。サンケイビルのところで地上に上がる。アレクサンダー・リーバ—マン《イリアッド・ジャパン》のところ。ただ、目指す清水九兵衛作品のあるあたりは、仮設壁で囲まれ、工事中。残念。しかたがないので、少し周囲を歩いて、野外彫刻を探る。大手町ファイナンシャルシティのPAなど。GW中でほとんど人がいない。店も開いているのはコンビニだけ。なので、PAの前に座って、7のコーヒーなどで、一息つく。




東京サンケイビル METRO SQUAREの、アレクサンダー・リーバ—マン《イリアッド・ジャパン》(1987)


大手町ファイナンシャルシティ グランキューブの、金子潤《Current》(2015)。金子潤作品はこの他に3点あった。ダニエル・ビュレンなどのPAもあったが、それらは、また次の機会に。

  • ということで、オアゾ丸善などを探索して(『夜のみだらな鳥』出たのね)、帰路についたのであった。