かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

長崎→佐世保 長崎・佐世保[第1日]

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鍋冠山展望台から

  • 長崎と佐世保に行ってきた。お目当ては長崎県美術館で開催中の展覧会「青木野枝 ふりそそぐものたち」、併せて、長い間、行ってみたかった佐世保の弓張岳展望台の本郷新作品を観てくることにした。両日とも天気は上々で、無事に旅行の目的を果たすことができた。それでは出発!
  • 最寄り始発バスで羽田に向かう。順調で、定刻の5:50より数分早く、羽田空港T2に到着。早々に保安検査場を通り、出発ゲートの51に移動する。行きの飛行機は、ソラシドエアSNA031便、羽田6:55→9:00長崎の予定。出発はだいたい予定どおりだったが、長崎到着は予定より少し早く8:45過ぎに着陸、前方席だったこともあり、8:55頃には到着ロビーに出た。なので、予定より早い空港9:00発の出島道路経由のノンストップ便に乗ることができた。9:40頃、新地バスターミナルに到着。
  • 長崎県美術館 まず美術館を訪ね、お目当ての青木野枝展を観ることにする。湊公園でトイレを借り、美術館まで歩く。美術館は10:00からなので、展覧会の前に、ダリの彫刻作品を観ることにする。長崎県美術館の野外彫刻は、これまで屋上庭園の野外彫刻ばかりに目が行き、美術館の裏手に設置されているこのダリ作品をすっかり見逃してきたのだった。美術館周りも見学したつもりでいたが、こんな大きな作品、どうして見逃していた?と、反省しきり笑 10:00を過ぎたので、美術館へ。今回は忘れずに前売り券を買って置いた。1000円。早速、展示室に向かう。2012〜13年にかけて豊田市美術館名古屋市美術館で同タイトルの展覧会が開催されているが(観に行ったよ!)、もちろん同一のものではなく、バージョンはそれぞれ異なっている。今回の展覧会の出品作も、ほとんどが新作の長崎バージョン。一応の鉄を中心とした彫刻作品だが、1室1作品の設えも含めた空間全体が作品となっている。つまるところ、物質感も含めた細部の造型から、展示室全体に広がる巨大な空間性まで興味が尽きないわけだ。などなど。ひとわたり観覧の後、続いて、コレクション展も観覧する。コレクション展は下記の内容。中でも、奈良原一高「人間の土地」から軍艦島に取材した「第2部 緑なき島」と桜島に取材した「第1部 火の山の麓」を紹介した展示がよかった。>参考:AOKI Noe(公式)

常設展示室・第1室 「奈良原一高 人間の土地」
常設展示室・第2室 「長崎ゆかりの美術 日本画
常設展示室・第3室 「須磨コレクション3」
常設展示室・第4室 「富永直樹 陶板の仕事」


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新地中華街南門(朱雀)


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サルバドール・ダリ《ガラのニュートン》(1985鋳造)。絵画《Fosfene de laporte》(1932)の中の人物を彫刻作品にしたものとのこと。ダリのドローイングとデザインに基づき、ダリの監修により制作されたワックスモデルから鋳造された12体のうちの一つ。


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「青木野枝 ふりそそぐものたち」会場入口付近


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「青木野枝 ふりそそぐものたち」、1. 《雲谷/長崎》(2019/鉄)


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「青木野枝 ふりそそぐものたち」、2. 《水のとどまるところ/長崎》(2019/鉄、水)


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「青木野枝 ふりそそぐものたち」、3. 《ふりそそぐものたち/長崎》(2019/鉄、ガラス)


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「青木野枝 ふりそそぐものたち」、4. 《Untitled》(1992/鉄、卵、銅線)


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「青木野枝 ふりそそぐものたち」、5. 《立山/長崎》(2019/鉄、石鹸)


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「青木野枝 ふりそそぐものたち」、6. 《曇天 1》・《曇天 2》(2019/石膏、麻布、新聞紙、鉄)


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「青木野枝 ふりそそぐものたち」、7. 《水のとどまるところ/長崎》(2019/鉄、水)

  • 続いて、鍋冠山の展望台に行ってみることにした。その前に、お腹も空いたこともあり、先に昼メシにとんかつを食らう。なんだか無性に食べたかったのよ。食後、少し歩いて、新地中華街電停から5系統の路面電車に乗り、終点の石橋まで行く。120円。4月1日からは10円値上げされ、130円になるらしい。さて、石橋からグラバースカイロード(斜行エレベーター)で、グラバー園の第2ゲートに出て、ここからは歩いて鍋冠山を登る。展望台までのルートは入り組んだ細い道だが、そこかしこに展望台までの道のりを示す標識が設置されているので迷うことはない。きょろきょろしながら歩いたので、多分に時間を要したが、石橋電停から15分もあれば展望台に着くだろう。天気はいいのだが、風が少しあり、今回は春仕様の服装で来たこともあり、これが冷たくて、少しまいった。

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もう少しで展望台というあたりで、不思議な六角塔に出会う。なんでも、聖徳院(六角塔)というらしい。隣に立っている石塔には、「大正十二年十月立報恩会」とあった。

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鍋冠山展望台からの眺め。女神大橋の方向を遠望。うっすらとだが、遠くに端島/軍艦島も見えた。展望台は2016年4月1日にリニューアルオープンしたもので、360°の景観を楽しむことができる。


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こちらは長崎市街方向。


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対面の立神のドックを少しアップで。

  • 小曽根乾堂翁像 旅行前にグーグルマップを眺めていたら、鍋冠山の西の麓に、「小曽根乾堂翁像」と記載があった。「像」か、では、立ち寄ってみようかと、ということにしたのだが、地図で経路を確かめると、直線距離で行けるわけでもないので、それほど近いわけでもない。来た道を戻って、グラバー園の西側を抜け、グラバー通り経由で行くルートもあるが、戻るというのが癪なので、鍋冠山の南側に降りるルートで行ってみることにした。予習ではどちらも同じくらいの距離、時間で行けそうだったが、近道に細い道を抜けようとしたら、やっちまいました。道に迷って、どこがどこだが…わからない笑 だいたいの方向はまだわかるので、それを頼りに歩を進めると、ますます山中の迷い込んでいくような気もする。う〜む、どうしたものか? と歩いているうちに、二本松アパートというところに出た。まあ、長崎駅方面に向かうバス停もあるので、いよいよのときはバスに乗ればいいやと、この団地?を抜け、さらに方向感覚だけを頼りに歩いて行くと、再び山中に分け入るような…今度こそ、絶体絶命か笑 と、迷子を楽しむこと、小一時間、大きな道に出ることができた。バスも走っているようなので大丈夫だろうと、この道を北に歩いているうちに、やっと海沿いの大通りに出て、なんとか目的地にたどり着く。小曽根乾堂翁像は金比羅社の参道を上がった、途中の小公園にあるようで、再び坂を上がるのかと思うと、ちょっとくじけそうになったが、まあ、行ってみることにした。ということで、ずいぶんと遠回りをしたが、今回の旅行の最大の危機は無事に脱したのであった苦笑

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《小曽根乾堂翁像》(1958.11.23建立)。乾堂翁銅像再建委員会による。像の制作は田中雷名。「再建」とあるので、初代像はおそらく昭和18、9年に供出されたのだろう。小曽根乾堂(1828-1885)は、幕末・明治期に長崎で活動した事業家、書家、文人画家、篆刻家。幕末に坂本龍馬亀山社中海援隊を支援したことでも知られる。また、明治期には勅命により御璽・国璽を刻している。


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乾堂像のある小公園から、長崎市街方面を望む。


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バテバテなので、今度こそバスに乗る。乾堂像のある小公園から海沿いまで5分ほど歩き、浪の平バス停に出る。ここから、長崎バス・4・下大橋行きで、市役所前まで移動。20分ほど。190円。

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諏訪神社五の鳥居近くの小祠、祓戸神社の狛犬。ハイハイしたり、逆立ちしたり。たしか、木下直之が著書で紹介していたと思うが、ここにあったのか!


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で、今回の諏訪神社のお目当ては、祓戸神社前の、山本健吉文学碑「母郷行」(1984.11設置)。表面には山本健吉による「母郷行」が、裏面には井上靖による碑文が彫られている。碑には何も書かれていなかったので、よくわからないが、舟越保武が設計した山本健吉文学碑はこの碑のことかな? なお、五の鳥居付近には、向井去来の句碑など、いくつか文学碑あった。


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諏訪神社では、いつも、北村西望の大きな神馬像の写真を載せているが、今回は、月見茶屋近くにあった小ぶりな神馬像を掲載。作者などは不詳。

  • この後、長崎公園・どうぶつひろばを見学し(『動物園巡礼』の影響笑)、長崎歴史博物館を抜け、聖福寺、福済寺を再訪し、長崎駅前まで歩く。予定より少し早いが、先ほどの鍋冠山彷徨で疲れ果てたので、長崎観光はここまでとし、佐世保に向かうことにする。

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以前の長崎訪問の際にも載せたが、長崎歴史博物館・東側の、《長中健児ここに在り》(1984.11.11設置)。制作は富永直樹。台座横の碑文は山本健吉が書いている。


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その隣にあるきつね像? 正体不明。

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聖福寺山門。1703年(元禄16)竣工。国指定重要文化財


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聖福寺惜寺亭。経文をはじめ、寺内の不要になった文書類を燃やすための炉。赤煉瓦造り・漆喰塗りの六角形で、1866年(慶應2)7月の築造と言われている。


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聖福寺天王殿。仏殿と門を兼用する独特の形式をもつ建物で、天王殿という名称は中国伝来のもの。1705年(宝永2)竣工。国指定重要文化財
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天王殿の外側に祀られている弥勒菩薩(布袋)像(外側)と韋駄天像(内側)が祀られている。


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聖徳寺大雄宝殿。本尊の釈迦を祀る仏殿。1697年(元禄10)竣工、1715(正徳5)改築。国指定重要文化財


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聖徳寺の魚板。

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聖福寺鐘楼。1716年(享保元)竣工。国指定重要文化財

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聖福寺石門。

  • 福済寺 続いて、福済寺の万国霊廟長崎観音を再訪する。福済寺は、1628年(寛永5)福建省出身の覚海禅師が来日、庵をこの地で結んだのを始まりとし、1649年(慶安2)に来日した蘊謙戒琬禅師が正式な諸堂を創建した。大雄宝殿など、戦前には国宝指定を受けたが、1945年の原爆投下により、諸堂はことごとく灰燼に帰した。1979年11月、大雄宝殿の跡地に、原爆被災者と戦没者の鎮魂と平和祈念のため、万国霊廟長崎観音が建立された。

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福済寺の門。門の上の鐘は、原爆犠牲者慰霊のための鐘。毎日11時2分(長崎に原爆が投下された時間)に、一打一万人の霊を慰める意で、七打打ち鳴らされているとのこと。

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万国霊廟長崎観音。建設チームは、謹立:分紫山福済寺30世住持沙門徹義義光、設計監理:(株)土屋巌建築設計事務所、(有)宮本建築設計事務所、施工:(株)鉄川工務店

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万国霊廟長崎観音の地下に設置された「フーコーの振り子

  • いささか歩き疲れたので、今回の長崎観光はここまでとし、佐世保に向かうことにする。長崎バスターミナルから、16:00発のスーパーノンストップ便で佐世保の向かう。長崎・佐世保間の高速バスは、長崎県営バス西肥バスの共同運行で、16:00の便は長崎バスによる運行だった。終点の佐世保BTまでは1時間30分強、料金は1500円。スーパーノンストップ便の経路は、 ながさき出島道路長崎自動車道西九州自動車道佐世保大塔IC→国道35号を経て、佐世保BTがこのバスの終点だった。高速道路を下りてから、少し道が混んでいたので、若干遅れたが、大過なく17:30過ぎに佐世保BTに到着。車中、ほとんど、気を失っていた… まだ明るいので、駅の周辺を少し探ってから、今日宿泊のホテルに向かう。途中、アーケード街などをふらふらと歩いたのだが、いわゆる佐世保バーガーの店頭には、「艦コレ」の皆さまが立っていた笑 まあ、佐世保だからなぁ。

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佐世保駅のコンコースを抜け、港口を出ると、すぐ海だった。

  • 今回宿泊したのは、サンウエストホテル佐世保というビジネスホテル。部屋は8Fのシングルで、それほど広いわけではないが、バスタブも大きめ、備品やアニメティも充実しており、なかなかよかったかと。Wi-Fiもしっかりと入ったし、枕元に電源もあった。朝食ありで、1泊4600円だったのだが、これは格安でかなりお得だったと思う(ちなみに、朝食は品数も多く、美味だった)。ということで、風呂に入って、体をほぐし、早々にベッドに横になる。