かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

鹿追→帯広



防風林、なんだか行進しているみたいだった。

  • 十勝方面へ行ってきた。春の北海道シリーズ第3弾である。お目当ては、①鹿追町神田日勝記念美術館、②芽室町にある本郷新《リズム》、そして、③帯広市内の野外彫刻を探ることである。他にも、いくつかお目当て候補はあったが、結局、この3件に落ち着いた。(他の候補は…糠平湖にタウシュベツ橋梁を見にいく案、これは公共交通利用で1泊2日の日程ではいささかきつくて、断念。六花の森・中札内美術村を訪問する案、これはそもそも今年の営業が4月27日からで、まだ冬眠中…などなど。)
  • さて、最寄り始発バスで羽田空港に向かう。雨はそれほど強くはないが、降り続いている。途中、反対車線で事故渋滞があり、こちらの車線でも少し影響が出るなどあり、定刻に数分遅れて到着。今回搭乗するのは、AirDo 061便、羽田T2 6:55→8:30帯広の予定。搭乗口はどこかなと掲示板を見ると、霧の影響で、安全に着陸できない場合は、新千歳空港に向かうか、羽田に引き返す条件付き運航とある。まあ、大丈夫だろうと高をくくるが、ここのところの連敗で、内心はちょっとびくびくしていたり苦笑 保安検査場を通過して、505ゲートに向かう。バス移動だ。6:35に搭乗開始。なんと、バスは1台で済ますようで、バスに乗ってから動き出すまで大分待たされた。使用した機材は、B737-700。LCCと違って、足下がゆったりしていて、楽だ。7:16、羽田を離陸、8:26帯広空港に到着。霧はすでに晴れていて、大丈夫だった(しかし、高をくくっていると、そのうち…)前方席だったこともあり、8:30過ぎには到着ロビーに出ていた。十勝バスの帯広市街行きに乗車する。帯広駅前まで行く予定。料金は1000円で、40分ほどかかる。8:40に発車して、9:20頃、帯広駅前に到着。ここまでは、だいたい予定どおり。それにしても、帯広、さ、寒い。天気予報の気温をチェックして、ライトダウンを持って来たのは正解だったな。
  • 帯広周辺の交通機関は、JR北海道、十勝バス、北海道拓殖バスを利用することになるが、いずれも交通系ICカード(オレの場合、SUICAね)が使えなかった。また、帯広バスターミナルがリニューアル工事をしており、乗り場はリニュアールが終わり、使われていたが、案内所・待合室は5月まで仮設の案内所・待合室のままとのことで、ちょっとわかりづらかった。
  • まずバスの案内所に行き、北海道拓殖バスのカウンターで、神田日勝記念美術館バスパックという割引ききっぷを購入する。2100円。これは、帯広BT-神田日勝記念美術館前の往復のバス乗車券と美術館の入館券がセットになったもの。バラで行くと、片道1000円、入館券が520円、合計2520円なので、420円安くなる。鹿追では、もう1箇所、福原記念美術館を訪ねたのだが、こちらは入館料600円で、神田日勝記念美術館とのセット券を600円(単独の入館料と同額!)で販売していた。このセット券はHPに掲載がなく、福原記念美術館の窓口で初めて知った。(バス代+セット券の方が少し安かったな…)
  • 案内所を後にし、ちょっと駅前の彫刻を探る。これはまた後ほど…
  • 帯広BTの4番乗り場から、53然別湖行9:40発に乗車。バスは一路北上、十勝大橋を渡り、国道133→54→133というルートを通り、定刻の10:35頃、神田日勝美術館前バス停に到着。途中、窓外に見えた十勝牧場の白樺並木をはじめ、防風林のまるで隊列を組んで行進するような樹木のたたずまいがとても美しい。
  • 今のところ、雨はまだ降っていないが、天気予報では昼頃から雨が降り出すようなことを言っていた。なので、先に少し歩いたところにある福原記念美術館に行くことにする。5分ほど。福原記念美術館は、実業家の福原治平氏(スーパーマーケットのフクハラの創業者ね)が蒐集した美術コレクションを公開するために設けられた美術館で、2007年の開館。5つの展示室に、絵画・版画・彫刻など約150点が展示されている。斉藤斎(洋画)、藤井範子(日本画)、田中彰(彫刻)らの作品がコレクションの中核となっているが、全体的に雑然とした印象。まあ、これだけならオレ的にはパスするところだが、神田日勝作品も複数、コレクションに含まれていて、せっかくだからこれも観ておこうと今回訪ねた次第。おもしろいところでは、コレクションに狩野探幽や常信など(軸物のぱっとしないものだったが…)の古美術もいくつか含まれている(18cの風俗画屏風が出ていた。これはおもしろかった)。また、美術館に前庭・後庭があり、芝地の中に、巨大な十勝石や樹齢1000年以上と推定されるいちいの樹、田中彰の野外彫刻が配され、なかなかいい空間となっていた。


前庭からみた美術館


入口を入ると、奧に見たことのあるやつが…


北村西望《熱風》(1972)。他に、《天女の舞》をスケールダウンした《二人の天女》も展示室にあった。さすが北村西望、どこにでもいるいる。


展示室はこんな感じ。第1展示室


後庭


いちいの古木。右が太郎、左が次郎と名付けられていた。


前庭に設置の、田中彰《森のオーケストラ》


こちらは後庭に設置の、田中彰《森の賢者》

  • 再び、来た道を戻り、いよいよ神田日勝記念美術館へ。歩いている途中でぽつぽつと雨が降り出した。


美術館のあたりは、町民ホール、トリムセンター(福祉健康施設)、温水プールなどの施設が集まり、芝生公園になっていた。その中に、シンボル的にスペーシーなカリヨンが設置されていた。

  • バス停の前にセイコーマートがあったので、ちょっと休憩に立ち寄る。静かにコーヒーを飲んでいると、早速騒々しいおばさん4人組がやってきた。もうこんなんばっかり苦笑 あまりバスまで時間はなかったのだが、なかなかここまで来る機会はないだろうと思い、最後に町役場あたりをちょっと探ってみる。と、裸婦像が1基あった。


《平和の像》(1986.5.19設置)。台座裏面の説明板によると、実業家の福原治平氏が母親が鹿追町で天寿を全うできたことへの感謝のために、町の平和と繁栄を祈念して、この平和の像を寄進した。裸婦と鳩。もう少し町を探れば、他にも野外彫刻がありそうだったが、残念、ここでバスの時間が来てしまった。ところで、この像、宇治北高等学校にもなかったか?


そして、鹿追町の消火栓。



  • 神田日勝美術館前バス停から再び帯広BT行きのバスに乗車。13:53発。乗客は数人しかいない。来た道を逆にたどり、小一時間で、帯広BTに到着。雨は本降りになっている。さすがにお腹も空いたので、駅近くで豚丼を食べることにする。事前調査で、いちばん行きいと思った店は駅から遠く、歩いて行くのはちょっとしんどいので、これはまたの機会とした。最初は駅中の有名店に行ったのだが、店員の皆さんの揃いのTシャツ姿があれで、ちょっと入る気になれない。ということで、別の有名店に入ってみた。


豚丼竹1000円。なめこ汁200円。たくわん付。豚丼は松900円、竹1000円、梅1100円、華1300円で、肉の数で値段が違うとのこと。松4切れ、竹5切れ、梅6切れ、華は?。味噌汁は別売で、わかめ180円となめこ200円の2種。この店は、あとのメニューは飲み物だけ。おおざっぱに言って、鰻丼をタレに似た甘辛のタレを炭火で灼いた豚のロース肉に絡めて、どんぶりめしの上に載せたもの。これはごはんがすすむ。豚肉も柔らかく、おいしい。グリンピースがいいアクセントになっていた。関係ないが、ふりふりのついたエプロンを着た3世代の女性が給仕していた。なにかちょっとおかしかった(失礼)。

  • 暮れるにはまだ間もあるし、お腹もいっぱいになったしで、雨降りであるが、しばらく帯広の野外彫刻を探ることにした。鹿追に行く前にも軽く観て回ったが、まずは帯広駅北口の駅前広場から。坂坦道の《大地》、3本の手《穹(そら)を擴(ひら)く》、そして3頭の鹿がいた。駅前通りの平原通りを北に歩いて行くと、六花亭帯広本店前に雄鹿が1頭、藤丸百貨店の前にも3頭の鹿がいた。どうやら親子らしい。鹿の像はアメリカ人彫刻家のグイン・メリルによるもの。近くの駐車場に、猿がいたが、作風が違うので、これは関係ないか…続いて、近くの帯広中央公園へ。ここに《育め青少年》と題された野外彫刻が1基あった。雨も強くなってきたし、ぼちぼちホテルに向かうかとも思ったのだが、もう少し歩いてみることにする。菓子舗の六花亭西3条店の入口前で犬の像を眺めた後、帯廣神社前の中島公園の《依田勉三翁之像》を観覧。事前には、とても歩ける距離じゃないなと思っていたのに、雨の中、歩いてしまったのであった。魔が差したというか笑 肉食ったからかな笑 でも、さすがに疲れた。この辺でホテルに向かう。


帯広駅北口前広場の、坂坦道《大地》(1969建立)。この作品については、また明日の項で。



帯広駅北口前広場の、《穹(そら)を擴(ひら)く》(2003)。帯広商工会議所創立80周年、とかち国際現代アート展の記念モニュメントとして建立。制作は「帯広商工会議所駅北広場モニュメント制作委員」。委員は、池添博彦、池田緑、瀧川秀敏、中谷有逸、宮沢勝忠。とかち国際現代アート展「デメーテル」は2002年夏に帯広競馬場を会場に開催された。総合ディレクターは芹沢高志。


北口の駅前広場の3頭の鹿の像。周囲には銘板など、特に見当たらなかったが、調べたところ、2001年に帯広市によって設置されたようだ。




「おびひろ平原の鹿物語」(2012)。鹿の像はアメリカの彫刻家、グイン・メリルによるもので、。帯広平原通商店街振興組合によって設置された。雄鹿と雌鹿・子鹿は交差点を挟んで違いに見つめ合っているようだ。それぞれダン、リン、ダイチ、ソラと名付けられている。


近くの駐車場にこいつもいたが、これは関係ないやつか…真っ黒だし…


帯広中央公園の、《育くめ青少年》。作者は不明(印記のようなものがあったが、読めず)。また明日会いましょう。追記(2020.11.1):印記のようなものは「誠峯」と読めた。作者は、彫刻家の北村誠峰だろう。


六花亭西3条店入口で、お客を迎える犬の像。チン太くん、というらしい。六花亭のいくつかの店舗ではチン太くんの像があるようだ。像の制作は板東優とのこと。板東作品は、この後、帯広でいくつか出会うことになる。




中島公園の《依田勉三翁之像》(1940.2建立)。銅像の制作は田嶼碩朗。背負っているちょっとメキシカンな麦藁帽子がかわいい。依田勉三と晩成社のことは(明日行く)帯広百年記念館の展示で詳しく紹介されていた。これも真っ黒ですが…


ホテルへ向かう途中で見かけた廃業した風呂屋? 煙突は先に解体されたのかな?


そして、帯広市の消火栓。

  • 今日宿泊するのは、帯広駅近くの、ホテルムサシというビジネスホテル。セール中で、朝食付きで3000円だった。たしかにホテルは古く、部屋もそれほど広くはなかった。が、ユニットバスはリニューアルしたのか新しめで、バスタブも大きかったし、Wi-Fiもちゃんとしており、トイレにはウォシュレットもついていた。アニメティも充実で、入浴剤まで準備してあった。細かいところでは、枕元の電源やスタンドなどもあり、かゆいところに手が届いた部屋だった。朝食もなかなかよかったし、もちろんフロントの対応もよかった。その上、チェックアウト時にはミネラルウォーターのペットボトルを1本サービスしてくれた。価格から考えると、100点オーバーの満点超えと言ってもいいかと思う。って、褒めすぎかな笑