あさご芸術の森の野外彫刻 [大阪→姫路→新井→姫路・第2日(1)]
あさご芸術の森へは、多々良木川沿いの道を歩いた。谷の奧に見える山はうっすらと白くなっていた。
- 6:00頃、起床。身仕度をして、1Fの朝食会場へ。6:40からなので、あまりゆっくりと食べている時間もない。ビジネスホテルの朝食にしては、おかず類も数が多く、悪くはない。ハスのきんぴらだとか、タケノコの煮物だとか、美味しく食べた。7:00頃、チェックアウト。姫路駅に向かう。
- 姫路駅7:23発の播但線・寺前行きに乗車。4両編成だが、途中で2両は切り離しになって、寺前まで行ったのは2両だけ。この時間帯だけに、通学列車で、合計4校ぐらいの高校生で列車はいっぱいだったが、途中の甘地駅までに、高校生はみんな降りていった。8:22に寺前に到着。ここで、8:27発の和田山行きに乗換。こちらは2両編成。寺前からはぐっと山の中という感じになる。天気予報で、降雪などあまり心配はしていなかったのだが、下車する新井(にい)駅の一つ手前の生野駅周辺では道路こそ雪はなかったが、屋根や田畑は雪で白くなっていた。う〜む、野外彫刻は雪で埋もれていないかしら、と若干心配になるが、トンネルを一つ二つ抜けて、新井駅に近づくと、雪はほとんどなくなる。どうやら大丈夫そうだ。9:00前に無事に新井駅に到着。では、出発。歩くぞ〜!
- あさご芸術の森は、播但線の新井駅が最寄りだが、ここから芸術の森までの交通の便があまりよくない。基本的にマイカー利用がデフォルトのようだが、公共交通が全くないわけではなく、朝来市のコミュニティバス(アコバス)が走っている。ただ、便数が少なく、今回は時間が合わなくて、利用しなかった。往復は無理でも、時間を合わせて、片道だけでも利用するのは手かも知れない。その他の交通の便は、あとはタクシーぐらいか。ということで、タクシー嫌いのオレは歩いちゃうことにした。芸術の森への道沿いにも野外彫刻が設置されているようだし、これに立ち寄って、観覧することを考えると、あながち徒歩も、悪くはないだろう。天気が気になるところだが、ラッキーなことに、今回はその天気にも恵まれた。確かに寒いことは寒かったが、積雪さえなければ、意外と今の時期は歩くのにはいい時期かもしれない。
- 新井の野外彫刻 ということで、駅から県道70号線に出て、まずは北上する。10分ほどで、朝来市朝来庁舎に到着。このあたり、図書館やホールなどの公共施設が集まっているところで、下記に掲載した他にも、あさご・ささゆりホールのロビー(淀井敏夫作品他、数基あり)や朝来市立朝来中学校(同じく淀井敏夫作品の、《飛翔する鳥と少年》と《幼いキリン》)にも彫刻が設置されていた。
朝来市朝来庁舎前の、《海の鳥と少年(小)》。
あさご森の図書館前広場の、藤原吉志子《雨の中 双子の唄う歌が聞こえる》(1991/ブロンズ、ステンレス)
- あさご芸術の森の野外彫刻(1) 再び県道70号線を北上、新井の交差点を右折し、さらに国道312号線と交差する多々良木交差点のあたりまで。10数分。このあたりから、ぼちぼちと野外彫刻が設置されている。まず、道の駅あさごの駐車場入口にある本郷重彦作品を、続いて多々良木交差点の植松奎二作品を観覧する。植松作品の周りで改修工事をしており、近づけなかった。続いて、多々良木川沿いの道を多々良木公民館まで歩く。15分ほど。公民館の手前から左手に野外彫刻が設置されている。ネットなどで事前に調べたときには出てこなかった、最近設置の作品もあった。予習は大事だが、思わぬ作品に出会うと、それはそれでうれしい。
- ところで、あさご芸術の森に設置されている作品の多くは、1994年〜2001年の間、「対話=人・自然」をテーマに開催された「野外彫刻展 IN 多々良木」(主催:朝来町(当時)、四季彩あさごイベント実行委員会)という野外彫刻展(公募によるコンクール)での大賞・準大賞(最初の94年のみ優秀賞)の受賞作品で、それらに加えて、後継の公募展「あさごアートコンペティション」(2012年〜)受賞作や、芸術の森美術館の展覧会関連や芸術の森のアートイベントなどで制作された作品などが設置されているようだ。ちなみに、朝来市による公募展は「野外彫刻展 IN 多々良木」(1994〜2001)、「あさご芸術の森大賞」(2002〜2011)、「あさごアートコンペティション」(2012〜)と継続して行われている。「大賞展」、「コンペティション」とも、受賞作品は朝来市がコレクションしているようだ。また、あさごアートコンペティションは毎年開催されるが、現在のところ、奇数回と偶数回で公募内容が異なっている。偶数回は、あさご芸術の森に恒久設置する作品が募集され、マケットによる審査を経て、大賞受賞作が制作・設置されている。
あさご芸術の森内にいくつか設置してあった「あさご芸術の森 彫刻マップ」。この他に、「あさご芸術の森散策マップ」というリーレットがあった(あさご芸術の森美術館で入手)。野外彫刻の配置マップと写真入りで展示作品を紹介するものだが、実際にはこれらに未掲載の作品もあった。設置経緯などについては、記載はなかった。
道の駅あさご入口の、本郷重彦《PONKO149 風の華》(2001/ステンレス、鉄)
多々良木交差点・北東側の、植松奎二《浮くかたち−赤》(2001)。周囲で改修工事をしており、近づけなかった(タイトル板はあったが、遠くてよく見えない)。また、ここに「あさご芸術の森」の看板があった。
交差点を少し東に進むと、ゲートがあった。ここから美術館までは3kmの道のり。
以下、多々良木公民館周辺の野外彫刻を道順に掲載。帝塚山大学・安井健二研究室/樫谷拓哉、髙橋彩音、年岡昴輝、藤本翔平、山口明子《Seven Friends》(2013.3設置/繊維強化プラスチック、ウレタン塗料、ナノチタンコート、鉄)※第2回あさごアートコンペティション(A.A.C.)2013・大賞。
佐野耕平《space of a mirror》(2016.3設置/ステンレス、アルミニウム)。※第4回あさごアートコンペティション(A.A.C.)2015・大賞。椅子の海の中を、青い魚が1尾、泳いでいた。
松岡睦美《シキ タタラギ》(1997/御影石)
難波皆子《はぐくむ》(1997/御影石)。公民館手前の橋を渡ってすぐ、右側の公園の奥に設置。
- あさご芸術の森の野外彫刻(2) あさごの森入口付近の野外彫刻 多々良木公民館から15分ほど。このあたりから、いよいよ本格的に野外彫刻が設置されている。
内田晴之《重力空間−2つの領域》(2001/ステンレス、マグネット)※野外彫刻展 in 多々良木’01・大賞
伊藤憲太郎《SEED 空と大地》(2001/ステンレス、コールテン鋼)※野外彫刻展 in 多々良木’01・準大賞
作者、タイトルなど不詳。タイトル板が見当たらなかった。近時設置か?(元は、後掲の《ブルーチーズ》が設置されていたらしい) ジャン・アルプを思わせるフォルム。どの角度から観ても流麗でいい感じ。なにより石自体が美しい。追記(2019.1.12):第6回あさごアートコンペティション2017で大賞を受賞した岩崎順一《君は飛んだか?III》とわかった。>「あさご芸術の森美術館 美術館だより・友の会だより」56号(2017.10)[PDF]
藤本イサム《ココロ・コロコロ》(1993.11.19設置)。タイトルは東山嘉事による。
茗荷恭介《森の曳航》(2000/コールテン鋼)※野外彫刻展 in 多々良木’00・大賞
生形貴春《円の仕掛/未来飛行》(2000/ステンレス)野外彫刻展 in 多々良木’00・準大賞
牛尾啓三監修《増殖する卵》。タイトル板なし。アートキャンプで制作されたもののようだ。
これもタイトル板なし。イベントで制作されたものか?
中岡慎太郎《MY FAMILY》(1999)。芝地に設置。※野外彫刻展 in 多々良木’99・準大賞
植松奎二《浮く石−Floating Stone》。芝地に設置。タイトル板なし。※野外彫刻展 in 多々良木’99・大賞
久保健史《ブルーチーズ(森の中で・・・)》(2002)。芝地に設置。タイトル板なし。2002年にあさご芸術の森美術館で公開制作された作品。久保健史(くぼ・たけし。1974〜)は、第1回あさごアートコンペティション(2012)の大賞受賞者らしい。う〜む、タイトル板がないと、作品とは気づかないかも…髙橋由一の豆腐以来の怪作!
東山嘉事《太陽ギンギラ 穴ぼこデンデン》(1995/御影石他)。
本郷重彦《PONKO 143》(1998/鉄)※野外彫刻展 in 多々良木’98・大賞
藤原吉志子《「最後の午餐」に集合した一同》(1998/アルミニウム)。向かって左から2席目が空席になっていて、シートには「YOUR SEAT」と彫られている。藤原吉志子(1942-2006)は、あさご芸術の森美術館で行ったワークショップや野外彫刻設置で縁ができ、その後、120点の作品が美術館に寄贈された。美術館では、企画途中で作者が亡くなった「藤原吉志子展」(2007年)、「没後10年 藤原吉志子回顧展」(2016年)と2回の展覧会が開催されている。
藤原吉志子《うさぎ》(制作年不詳/アルミニウム)。タイトル板なし。埼玉県川口市のSKIP CITYの動物ベンチ(うさぎ5基、かめ1基)と同じか?(未確認)
澄川喜一《おつきさま》(2001/黒御影石)。事前には知らなかった作品。今回の旅行では、3点のキーチマンのお月さまシリーズを観ることができた。
タイトル板なし。イベント等で制作された作品か?
早川榮二《view of the bamboo》(1998/ステンレス)※野外彫刻展 in 多々良木’98・準大賞
アートキャンプ2001、椿野浩二監修《黙》(2001/土)
- あさご芸術の森の野外彫刻(6) 彫刻広場と民俗資料館の周辺
曽我孝司《重力質 -The Sea of the Ear-Rings-》※野外彫刻展 in 多々良木’97・準大賞 タイトル板なし。
石原秀雄《暗室の王》(1997/花崗岩)※野外彫刻展 in 多々良木’97・大賞
牛尾啓三《オウシゾウケイ−大地からのおくりもの》(1996/黒御影石)※野外彫刻展 in 多々良木’96・大賞
吉村延雄《風の軌跡》(1996/コールテン鋼)※野外彫刻展 in 多々良木’96・準大賞
三木俊治《「行列」−宙の話》(1995/花崗岩)。石彫の行列って、初めて観た。
島剛《木霊の壺》(19995/ブロンズ)※野外彫刻展 in 多々良木’95・大賞
松本薫《Cycle-90° 雲の中へ》(1995/ステンレス)※野外彫刻展 in 多々良木’95・準大賞
松田一戯《夢みのりの神》(1996/クスノキ、他)
山﨑哲郎《Circle(環)−大地》(1994/コールテン鋼)※野外彫刻展 in 多々良木’94・優秀賞
青野正《森の記憶》(1994/コールテン鋼)※野外彫刻展 in 多々良木’94・大賞
水田勢二《クワガタムシ》。タイトル板なし。
- 12:00をまわった頃、ひとわたり観覧し終えた。もう少しうろうろしていたい気もするが、ぼちぼちと新井駅に戻ることにした。13:09発の寺前行きに乗りたいのだが、あと1時間、はたして間に合うのか。と言いつつも、それほど急ぐわけでもなく、のんびりと歩いて戻る。30分強で、多々良木交差点までたどり着いた。ちょっと疲れたので、交差点近くのロのイートインでコーヒー休憩といっても、ほんのちょっとの間だったが。播但線の踏切まで歩き、あとは線路沿いの細道をとぼとぼと歩く。ここが思っていたよりも距離があり、新井駅にたどり着いたのが、13:05頃。まあ、なんとか間に合った。トイレに寄って、改札を抜け、ホームに出て、しばらくすると1両編成の寺前行きがやってきた。新井13:09→13:42寺前13:46→14:36姫路と列車を乗り継ぐ。だいたい予定どおりに姫路に戻ってきた。
新井駅にて。帰りは1両編成だった。